R18 いたずらしましょう?

 ことの始まりはC.C.の発言だった。
「ルルーシュ、ハロウィンをするぞ」
 オレンジと黒に染められた街は今ハロウィン一色! というテレビ中継を指差し、C.C.はソファーに座るルルーシュへと振り返った。次いで仮装をするから衣装を作れ、かぼちゃを使った手作り菓子を用意しろ、ジャックランタンは幾つ欲しいだのと、ハロウィンまであと一週間もないという時期に言い放つ。
「C.C.……今から俺に全てこなせと?」
「当たり前だ、他に誰がいる」
 こめかみを押さえて頬を引き攣らせるルルーシュに、お気に入りのチーズくんを抱きしめながらC.C.は当然だろうと冷ややかに笑う。ルルーシュに選択権はない。C.C.にやれ、と言われたら確実にやらされるのは既に何度も身をもって知っていた。だからこそ、これからハロウィンまでにこなさねばならない仕事量に今から眩暈がしそうだった。
 そんな二人の会話を黙って聞いていたアーニャは、携帯電話をいじる手を止めると顔を上げてルルーシュに視線を向けた。
「……私も、ハロウィンで仮装する」
 これで衣装が二人分必要になった。無慈悲な言葉に、ルルーシュは諦めたように息を吐く。
「ルルーシュ様、及ばずながら私もお手伝いいたします!」
 ジェレミアの言葉が、常以上に頼もしく聞こえたのは間違いではない。

 その悪魔の宣告からルルーシュはミシンをフル稼働させて二人分の衣装を急遽作り上げる羽目になった。足りない布や材料はC.C.とアーニャに買いに行かせ、ジェレミアにはオレンジの作業をまず任せることにする。戻ってきた二人から布を受け取ると作っておいた型紙にあわせ、裁断から縫製までルルーシュ一人でこなし始めた。作業を終えて帰ってきたジェレミアには新たにジャックランタンを作らせる。底をくり抜いて中身を取り出すのはジェレミアが、顔を描いて切り抜くのはC.C.とアーニャの仕事だ。
 ルルーシュが音を立ててミシンを走らせる横でジェレミアが着々とかぼちゃをくり抜き、C.C.とアーニャが顔を作っていく。どこかアッシュフォード学園時代の生徒会を思い出させる光景に、ルルーシュは知らず小さく口元に微笑を浮かべた。
 ふと顔を上げたジェレミアが丁度その瞬間を目撃し、ルルーシュの表情に安堵する。ハロウィンをしたいと言い出したC.C.に礼を言わなければ、と視線を向けるとジャックランタンの顔作りに飽きてテレビのチャンネルを変えだした姿が映り、礼は次回にしようとジェレミアは無言でかぼちゃをくり抜いた。
 大量に出たかぼちゃの中身は、パイにプリン、クッキーにタルト、とこれでもかと言うくらいかぼちゃ尽くしの菓子類へとルルーシュによって作り上げられる。隙を突いてつまみ食いをするC.C.に行儀が悪い!と怒りながらルルーシュは出来上がった菓子を綺麗に包んでいく。きちんとひとつずつ分けられたそれは、 C.C.にアーニャ、ジェレミアの分だ。
 そして、ハロウィンの夜。
 ルルーシュが必死に作った魔女と吸血鬼の衣装に身を包んだC.C.とアーニャは、蝋燭を灯したジャックランタンを手にわざわざ屋敷の外に出る。趣があるだろう、とはC.C.の弁だ。
 その二人に連れられ、ジェレミアもアーニャが買ってきたという狼の耳と尻尾をつけて外へと出た。ジェレミアの分の衣装の代わり、とのことらしいが、正直大の大人が付け耳だなんて、と恥ずかしさで穴があったら入りたいくらいだった。こっそり取ろうとしたらアーニャが悲しげに「……取るの?」と聞いてきたために外すこともできない。
 ジェレミアが一人で悩んでいると、C.C.が屋敷の呼び鈴を鳴らし出す。音に顔を上げると、暫くして屋敷の扉が開かれルルーシュがどこか不機嫌そうな表情のまま現れた。そしてあることに気づく。耳だ。ルルーシュに黒の猫耳と尻尾が生えていた。ジェレミアと同じく、アーニャが買ってきたものをつけているのだろう。
 今の今まで付け耳に尻尾だなんて恥ずかしいと思っていたが、その考えは改めるべきだとジェレミアは確信した。ルルーシュ様に猫耳、猫尻尾、素晴らしい響きだ。狼と猫で種族は違うものの、同じ付け耳同士だという事実にジェレミアはアーニャに対し大いに感謝した。お揃いだなんて生きていて良かった。
 一人で感激しているジェレミアを置いて、C.C.とアーニャの二人はルルーシュに手を差し出した。
「Trick or treat」
「……Trick or treat」
 魔女と吸血鬼の要求に、ルルーシュは用意していたバスケットから菓子の包みを手渡した。緑色のリボンはC.C.の、ピンク色のリボンはアーニャの包みだ。丁寧に包装されたそれは、全てルルーシュお手製だった。
「……満足か?」
 疲れたように訊ねたルルーシュに、C.C.とアーニャは二人で顔を見合わせた後、頷いた。
「及第点というところだな」
「……楽しい、と思う」
「それなら良い」
 辛口な採点に、ルルーシュは溜め息をつきながらも苦笑する。そして、C.C.とアーニャの後ろで呆けているジェレミアへと声をかけた。
「ほら、お前もするんだろう、ハロウィン」
 呼ばれて、ジェレミアははっと気づいてルルーシュの元に近づいた。少女二人はすでに屋敷の中に入って、受け取ったばかりの菓子を食べ始めていた。
「ええと、その、では……Trick or treat」
 恐る恐る言えば、ルルーシュが待っていたとばかりに口元を緩める。
「いたずらなどされる気はないからな。ちゃんとお前の分の菓子ならここに……」
 そう言ってオレンジ色のリボンがついた包みを掴んだルルーシュだったが、何かがおかしかった。嫌な感覚にばっと勢い良く袋の口を開けて確認すると、中身が全く入っていない。空だ。
「ジェレミア! お前食べたのか!?」
「いえ! そのようなことは……」
 問われたジェレミアは首を左右に振って否定する。ルルーシュが菓子を袋詰めしていたのは知っていたが、一度も触ってなどいない。まして、全く触れてもいないものを食べることなど出来はしない。
 ジェレミアではないとすれば、とルルーシュは素知らぬ顔でソファーに座りクッキーを食べているC.C.へと振り返った。
「食べたのか、食べたんだな」
「確定事項のように言うな、心外だ」
「だが、ジェレミアも俺も食べていないのならお前しかいないだろう」
「いちいち細かい男だ。狭量な男は最低だな。まあ、食べたか食べてないかと言われたら食べたがな」
「どういうことだ、C.C.!」
「……お腹空いたから、三時のおやつ」
 ぼそっとアーニャが告げる事実に、ルルーシュは眉を寄せた。まさか勝手に食べられているとは思わなかった。
 ならば、とルルーシュはC.C.とアーニャに歩み寄る。
「今渡した菓子の半分を寄越せ」
「駄目だ、これは私が貰ったものだ」
「……私の」
 二人は包みを後ろ手に隠し、ルルーシュから目を逸らす。今までその様子をどうしたものかと見守っていたジェレミアだったが、C.C.から菓子を取り上げようとするルルーシュの腕を掴んで制止する。
「あの、ルルーシュ様。とても残念だとは思いますが、食べられずとも私は……」
 おずおずとジェレミアが申し出れば、C.C.が勝ち誇ったように唇を持ち上げた。
「ほら、ジェレミア本人がいいと言ってるならいいじゃないか」
「いいのか、ジェレミア」
 ルルーシュが訊ねると、ジェレミアは小さく微笑を浮かべる。
「はい、本来なら私は食べずとも良い体ですので。また次に頂ける機会があればその時にでも」
「……そうか」
 少しがっかりしたようなルルーシュだったが、ジェレミアが言うのなら仕方がない、と諦める。そして、菓子を渡し終えて一段落したせいかどっと疲れが押し寄せてくるのを感じた。
「……俺は疲れたから先に部屋に戻る」
「それならば用意をいたしましょう」
 ルルーシュの後についてジェレミアも部屋へ戻ろうとするときに、アーニャが菓子を頬張る寸前で呟いた。
「……お菓子渡せてないから、ルルーシュにいたずら」
 その発言を背中で聞いたジェレミアは、ぎょっとして振り向いたルルーシュだけに見えるよう、こっそり微笑んだ。
「いたずら、しましょうか」

「だからってここまでしなくてもいいだろう!」
 ベッドに仰向けで寝かされたルルーシュは声を荒げた。その視界は今閉ざされている。仮装を作る際に余った布で目隠しをされたルルーシュは、両腕も頭上でひとつにまとめられていた。腕を縛った布はきっちりとベッドの柱に拘束されているため、無理に動こうと引っ張れば手首に巻かれた布が締まり、痛みが走る。
「いたずらですから」
 どこか楽しげに告げるジェレミアの声だけが、ルルーシュの確認出来る唯一だった。ジェレミア自身もベッドに乗り上げれば、ぎしりとスプリングの軋む音が響く。
 ジェレミアがルルーシュの閉ざされた瞼を布の上からそっと撫でると、びくりとルルーシュの体が強張った。視覚が奪われた今、聴覚と触覚がそれを補おうと鋭敏になる。
 ジェレミアは掠めるだけの口付けをすると、ルルーシュの服に手をかけて下を脱がし出す。絡まる服を足から引き抜き床に落とせば、下着ごと脱がされたルルーシュが恥ずかしげに足を閉じて唇を噛み締めている姿が映る。
「恥ずかしいですか?」
「この状況で恥ずかしいと思わない奴なんて変態だ」
 ルルーシュが言い捨てれば、ジェレミアは少し考えた後「そうですね」と納得する。その後、服を脱がせたせいでせっかく付いていた尻尾までなくなってしまったことにはたと気づき、内心がっかりした。頭についていた猫耳はというとさっきルルーシュ自ら外していた。ジェレミア自身もとっくに両方とも外してしまったが、ルルーシュにはつけたままでいてほしかった。勿体無いことをした。
「いつまで放置する気だ……っ」
 視界が閉ざされているためジェレミアが何をしているかも分からず、無言でいられると居心地が悪い。
「申し訳ありません」
 ルルーシュに見られていないのを良いことに、ジェレミアは笑みを浮かべながらも常のように謝った。これ以上主人の機嫌を損ねたくはないので、止まっていた行動を再開する。
 そういえば、とジェレミアは自身の服を探りポケットからひとつの飴を取り出した。少し長めの持ち手がついたそれは、ハロウィンだからとアーニャたちに頼んで買ってきてもらったものだ。ルルーシュに渡そうと思っていたのにすっかり忘れていた。
 そしてあることを思いつき、ジェレミアは包みを剥いだ飴をルルーシュの口元に押し付けた。唇に感じた固い感触に、ルルーシュは一瞬身構えたものの恐る恐る舌で舐めてみる。
「……ん、オレンジ味……?」
 少しずつ舌を伸ばし、形を確かめながら舐めていけば普通より大きいものの、それがただの丸い飴だと知れた。変なものではなく内心安堵したルルーシュに、ジェレミアは更に口内へと飴を突き入れた。
「さすがルルーシュ様、ご名答です。あ、ちゃんと舐めといてくださいね」
「んっ、んー!」
 もごもごと抗議するルルーシュの口に飴を残したままジェレミアは部屋の棚に入れてある潤滑剤を取り出した。ルルーシュの足を掴んで割り開くと、晒された場所にそれを塗り込んでいく。
「んっ、んんっ……!」
 濡れた指が後孔を撫で、ゆっくりと侵入してくる感触にルルーシュは息を漏らす。ジェレミアは指の腹を使いながらルルーシュの中を広げていく。
 だが、決定的な刺激を与えぬよう、ルルーシュが反応する箇所はあえて避けながら解していった。そのもどかしい感覚にルルーシュはじりじりと追い上げられていく。見えずとも次第に自身が勃ち上がっている状態すら感じ取れた。更にジェレミアにはそんなあられもない姿を全て見られているのだと思うと、常以上の羞恥に襲われる。
 その間も指はくるくると内壁を撫でたかと思うと、更に指を増やしてルルーシュの中を開いていった。徐々に解されたそれに満足したのか、ジェレミアは一旦指を体内から引き抜く。
「ん、んぅ……」
 どこか不満げな呻きを漏らしたルルーシュの口から、ジェレミアはようやく飴を取り出した。入れた当初と比べたら少し小さくなったように見えるが、それでもまだ大きさは保っている。そして、今度は先ほどまで弄っていた場所にそれをひたりと押し当てる。
「なっ……まさか」
「このくらいの大きさならば大丈夫ですよね」
 ルルーシュを宥めるかのように声音は優しかったが、その手は躊躇うことなく飴を突き入れた。
「うっ……」
 内壁を押し広げながら飴がずぶずぶと簡単に侵入していくのを、どこか感心したようにジェレミアは見つめた。
「ルルーシュ様凄いです、どんどん入れられそうですよ」
 今まで感じていた指とは違う異物感にルルーシュの体は強張った。口内で温められた飴は生温く、ジェレミアが持ち手を動かすたびに体内をかき回していく。
「ひっ、あっ、やだっ……なか、いれるなっ……!」
 角度を変えて内部を探られる感覚から逃れようとするルルーシュの腰をジェレミアはしっかりと押さえ込んだ。
「ルルーシュ様、逃げないでください」
「だって、あっ、は、はいってる……っ!」
 指以上の圧迫感にルルーシュはただ喘いだ。容赦なく前立腺をぐりぐりと飴で弄られると、ルルーシュの体が跳ねる。
「ひっ、やっ、あっあああ!!」
 未だひくつく内部に飴をくわえ込んだまま、たまらずルルーシュは精液を吐き出した。
「そんなに飴、おいしいですか?」
 荒く息をつくルルーシュの痴態にジェレミアは楽しそうに唇を吊り上げる。再度飴で内壁を突き上げればルルーシュは嬌声を上げた。一度果てたはずなのにまた首をもたげはじめたルルーシュに指をかけ、ゆるゆるとしごきあげていく。
「や、もっ……いやだっ」
 首を振って懇願するルルーシュを見ていると、愛しさが胸を締め付ける。それと同時にもっと歪んだ感情が溢れそうになるも、ルルーシュの目元の布がじわりと濡れていることに気づく。するりと目隠しを解くと涙で潤んだルルーシュの瞳が露わになった。
「も、申し訳ありませんでした……!」
 ジェレミアはその瞳にはっと冷静さを取り戻すと勢い良く謝った。
「……抜け、あと手も外せ」
 少しふてくされたようなルルーシュに従い、ジェレミアはずるりと飴を引き抜いた。その際に小さくルルーシュが漏らした吐息にすら反応してしまう欲を押し込め、縛っていた手首の布も解く。
「ルルーシュ様……」
 恐々と名前を呼べば、じっと濡れた紫の瞳がジェレミアを見つめた。怒られるのではと思ったが、それは杞憂に終わった。
 ルルーシュはジェレミアの頬を両手で包み込むと引き寄せて唇を合わす。軽く触れた後、ジェレミアの首に腕を回して、視線を合わせた。
「……玩具の類は好きじゃない。俺はお前が欲しいんだ」
 その言葉に、ジェレミアは息が止まるかと思った。実際止まっていたのかもしれないが、そんなことを認識する余裕もなかった。
「ルルーシュ様……!」
 ジェレミアが噛みつくように口付けると、ルルーシュもそれに応える。舌を絡ませて、互いに深く貪るように口付けを交わした。
「……っ、好きです。好きです、愛しています」
 ジェレミアが告げれば、ルルーシュは当然だとばかりに唇を持ち上げた。
「とっくに知っている」

 その後、散々ジェレミアに付き合わされたルルーシュは、シャワーを浴びた後疲労のために眠ってしまったが、中途半端な時間に起きてしまった。ベッドサイドのランプを頼りに部屋を出ると、ふらつく足取りでリビングへと向かう。冷蔵庫から冷えた水を取り出して喉を潤せば生き返るようだった。
 一息ついて視線をテーブルに向けると、オレンジ色のリボンをつけた包みが膨らんでいた。不思議に思って開けると中には菓子が入っている。C.C.とアーニャが食べたはずなのに何故、と思ったが少し考えれば分かることだった。自分たちが貰った菓子を、二人が幾らか残したのだろう。あれだけ渡すのを嫌がっていたくせに可愛いところがあるじゃないか、とルルーシュは口元を緩めるも、はたと気づく。
「二人が菓子を残したのなら、俺がいたずらをされる必要もなかったんじゃ……」
 どこか釈然としないものを感じたが、過ぎてしまったことは今更どうにもならない。胸に残るもやもやは忘れることにした。
 ジェレミアに渡す包みを持って部屋に戻ろうとする際、今度はソファーの上に転がっているものに気づき足を止める。飴だ。アーニャが他にも買ってきたのかもしれないが、同じ形のそれでジェレミアにされたことを思い出し、知らず眉間に皺が寄る。正直屈辱的だった部分もあり、あまり手に取りたくはない代物だったが、ルルーシュはあえてそれも手に取った。
 一瞬、ジェレミアにも自身と同じ思いを味わわせてやるべきかと考えたが、想像の段階ですらあまり気分が良くならなかったため却下する。他に何があるかと思考を巡らせようとするも、疲れた体では良い案も浮かびそうになかった。
 そうこうしているうちに自室に辿り着いたルルーシュは部屋の扉を開けた。ベッドの上ではジェレミアが寝こけている。ランプの仄かな光りがジェレミアの顔を映し出していたが、その表情がどこか幸せそうで、ルルーシュは先程までの仕返しがなんだか馬鹿らしいことのようにすら思えた。
 棚の上に菓子を置くと、もぞもぞとジェレミアがいるベッドに潜り込みルルーシュはランプを消す。真っ暗になった部屋には穏やかな呼吸音だけが聞こえた。ジェレミアに身を寄せると、その体温を間近に感じる。何かが無性に恋しく感じ、更にルルーシュはジェレミアへ寄り添った。
「……一応、俺もお前のこと好きだからな」
 いつもジェレミアには好きだの何だのと言われているが、ルルーシュ自身はジェレミアに向かってあまり言ったことのない台詞をぼそりと呟いた。あえて口にせずとも分かっているだろうという思いと、今更言うのもどこか気恥ずかしいという思いがルルーシュにはあった。
「私も、ルルーシュ様が大好きですよ」
 聞こえるはずのない声が耳に入り、ルルーシュはぎょっとした。何という失態だ。
 寝ていると思っていたジェレミアが寝ていなかった事実やこんな恥ずかしいことを本人に聞かれてしまっていたという羞恥に動揺しているルルーシュを、ジェレミアは心底嬉しげな顔で抱きしめた。
「この馬鹿! 起きていたなら起きていたと言え!」
「さっき目が覚めました」
「嘘をつくな! お前のことだから俺が部屋を出る辺りから起きていただろう!」
 腕の中でもがくルルーシュが愛しくて、ジェレミアは幸せというものを噛み締めた。
「ルルーシュ様、好きです」
「俺のほうがお前を好きだ!」

 ああ、生きていて本当に良かった。
2008/10/31
TOP